大人はよく、子供に将来の夢を聞く。
「将来は何になりたいんだい?」
私は、聞かれるのが嫌だった。
だって、将来の夢を何かに決めておいて、言わなければいけないではないか。
サッカーやってるやつはサッカー選手と言うだろうし、お花が好きな女子は、お花屋さんと言っているだろう。
今だったらYoutuberっとみんな口を揃えて言うのかもしれないが・・・
おれは、ゲームが好きだった。
狂うほどゲームが好きだった。
朝、4時とか5時に起きて、学校に行く前にやっていたし、挙げ句に学校行かずにやっていた。
幼稚園の時からスーファミ漬けで。
小学校、中学校に入れば毎日、MTGとデュエマ、遊戯王を友達とやってた。
高校、大学はモンハン、麻雀、朝から晩まで。
おっと、話が逸れた。
とにかく、大人はよく、将来何になりたいか聞いてくる。
今のおれに言わせりゃ「そういうお前の夢はなんだったんだ?」って言い返したい感じだ。
ちっちゃい子に夢を聞き返されて、言葉に窮する大人を見てみたい。
小学生の頃なんて、好きなことをがむしゃらにやれば良い時期だろう。
将来の夢なんて物を意識させて、縛ってはかわいそうだ。
頻繁に「将来の夢は?」っと聞かれると、夢を持たなければいけないような気がしてくるし、その時自分が答えた「夢」が固定観念になって、思考が狭くなる気がする。
それと、現在で、将来なりたい職業を聞かれて「Youtuber」っと答える子供には、将来と言わず、今すぐYoutuberになってほしい。
Youtubeは子供でも稼げるだろうし、子供だからこそ、稼げる分野もあるはずなので、今が一番チャンスだ。
おっと、また脱線した。
それで、幼少時代のおれはと言うと「将来何になりたいの?」と聞かれて困っていた。
特になりたいものもなかったからだ。
という訳で、何か答えを用意しなければならなかった。
そこで、おれは「パン屋」という答えを用意した。
「からすのパンやさん」というめっちゃ良い絵本を物心ついたときから読んでいたし、パンが好きだったからだ。
将来の夢を決めるといろいろ都合が良い。
学校の作文をすぐに書き始められるし、大人から聞かれた時に即答できるし、美術で将来の自分の絵を書くときも悩まずすぐ書ける。
実際、調子は良かった。
だから、タイムカプセルを埋めるというときも、なんのためらいもなく「20歳のぼくへ、パン屋になっておいしいパンを毎日焼いていますか?」っと書いたのだった。
20歳になって、あの時埋めたタイムカプセルを掘り返すという通知が来た。
行っても行かなくても良かったが、なんとなく行ってみた。
今なら多分行かないだろうが、当時大学生でウェイってたので、「行ったろwww」っと思っていったのだ。
行ってみると、友達と呼べる友達はいなかった。
だが、まぁみんなそんな感じだった。
知り合い程度の知り合いと言葉を交わす。
タイムカプセルが見つかるまで談笑していた。
A「お前、将来の夢なんて書いたんだよwww」
B「おれ??ww多分パン屋www」
C「っっあ!!wwwおれもパン屋にしたわwwwAは?ww」
A「パン屋に決まってんだろうがwwwDは?www」
D「パン屋パン屋wwwパン屋以外ありえないっしょwww」
なぜかパン屋がネタにされていた。
B「キリンノックスwwwお前なんて書いたんだよwwww」
キリンノックス「おれwっw?パ、パ、パン屋に決まってんだろうがwww」
C「ぎゃははwwwやっぱパン屋かwwwウケるwww」
キリンノックス「wwwっあwwちょっとおれ、用事思い出したwwww」
おれは帰った。
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