今週のお題「わたしの好きな色」
好きな色はなんですか?
というお題を貰えば、哲学バカの私が考えるのは、「メアリーの部屋」だ。
思考実験である。
メアリーは生まれてからずっと、色のない白黒の部屋で育った。
メアリーは白黒の本を読み、白黒のテレビを見て、知識豊富だ。
赤の色の波長や、網膜にその色が映ったあと、視神経を通して、脳に電気信号が送られる事を知っている。
赤についての全ての知識をメアリーは持っているのだ。
そのメアリーが、初めて、白黒の部屋を出て、「赤を実際に見た」とき、メアリーは新しい何かを知るだろうか。
という思考実験である。
普通に考えれば、「赤を見たことがないのに、初めて赤を見れば、赤い感じを知るだろう」と予測できる。
それは、「赤を見た感じ」は知識では得られない事を意味する。
本や、伝聞によって、赤を見た感じを伝えることは決して出来ない。
この赤を見た感じ、を「クオリア」と呼ぶ。
クオリアとは、赤を見たときの、あの感じ。冷たい水に手を入れたときの、感じ。怒りを感じたときの、あの感じ。
私としては、上手く書き表せなくて、モヤモヤするが、これ以上言語化できないのだ。
江頭2:50が
生まれたときから目が見えない人に、空の青さを伝えるとき何て言えばいいんだ?こんな簡単なことさえ言葉に出来ない俺は芸人失格だよ
という名言を言ったらしい。
しかし、違うんだ。
クオリアを人に伝えることなど、誰一人として出来ない。
クオリアは謎に包まれている。
毎日、私達は、クオリアに満ちて生活しているというのに。
いや、クオリアに満ちて生活しているどころか、私達には、クオリアしかないのだ。
目で見る、耳で聞く、肌で触れる、考える、感じる、怖い、楽しい、悲しい、嬉しい。
全てクオリアだ。
私達は、100%クオリアの中を生きている
それなのに、私達は、クオリアについて何もわからないのだ。
なぜ、赤を見た時、このように感じるのか、
なぜ、赤はあんな感じで、青はあんな感じなのか、
なぜ、冷たいはあんな感じで、熱いはあんな感じなのか。
そんな当たり前に毎日感じている事が、今の科学ではわからない・・・
意識のハードプロブレム
「クオリアが、どのように生じているか。」この問は意識のハードプロブレムと呼ばれている。
直訳すると難しい問題。
他にも
- 哲学的ゾンビ
- 中国語の部屋
- 私がコウモリであるとはどのようなことか
- 意識の境界問題
- 随伴現象説
意識に対する疑問は次々生まれているが、私は何一つ、納得行く説明を聞いたことがありません。
結局、全部よくわからないのです。
「意識のハードプロブレムが、解決可能な問題なのかどうか?」
という問まで生まれてきます。
解けるのか、解けないかすらわからない。
人間は原子で出来ている。
それはつまり、ボールを人形に組み上げると、意識を持つという事だ。
ボールの塊が、考え、感じているのだ。
意味が、わからない。
私には解ける気がしない。
ボルダリングで言えば、100mくらいの垂直の壁、ホールドなし、表面はつるつる。の壁を登るような感じがする。
最初の足がかり、論理のスタート方法すらわからない。
圧倒的不可能を感じる。
私が生きているうちに、解決されるだろうか・・・
納得行く説明を聞いたら、さぞ気持ちいだろう。
現実のメアリー
最近では、メアリーの部屋の思考実験は現実の物となった。
色盲で、生まれながらに、正しく色を認識できなかった人達が、特殊なメガネによって色を認識できる技術が出てきた。
この動画を見てくれ(色盲の方は中盤5:00ごろからです)
【感動】生まれて初めて色を見た時の反応 – BEST版【Video Pizza】
めっちゃ泣けるーーーー
メアリーは赤を見た時、何か新しい事を感じた。というのを見ることができる。
ってか、泣けるーーー!
感動で哲学とかどうでも良くなってくる。
歳を食うと涙腺が弱くなりますね!
泣いてもいいじゃないか。
余談
色盲で、長らく色を見たことがなかったが、初めて色を見た。という事象は、昔と未来にはなく、今、この時代にしか起こらないレアな事象かもしれません。
なぜかと言えば、昔には、その技術はなく、未来はおそらく、幼少時代にメガネに出逢ってしまう。
「人生でずっと色を見たことがなかったが、おじさんになってから、初めて色を見た」
という人は現在2019年付近にしかいないかもしれませんね。
今週のお題「わたしの好きな色」
私の好きな色は、ピンクです。
嘘です、緑です。
メアリーの部屋はこの本で知りました。
めっちゃ面白いのでオススメの本です。
コメント